ボトックス治療
Botox
歯を守るための「力のコントロール」

無意識の力から大切な歯を守り抜く
歯科治療において、虫歯や歯周病のコントロールと同じくらい重要でありながら見過ごされがちな問題があります。
それは「噛む力(咬合力)」のコントロールです。
- 「朝起きると顎が疲れている」
- 「詰め物や被せ物がよく外れる、割れる」
- 「歯がすり減って短くなってきた」
- 「知覚過敏がなかなか治らない」
これらの症状の背景には、無意識に行っている「歯ぎしり」や「食いしばり」が潜んでいることが多々あります。
人間の噛む力は想像以上に強大です。
特に睡眠中の歯ぎしりは、体重の数倍、時には100キロを超える負荷が歯や顎にかかると言われています。
毎日これだけの衝撃を受け続ければ、どんなに丈夫な歯でも、どんなに精密なセラミックでもやがては悲鳴を上げ、壊れてしまいます。
これまで歯ぎしりへの対策といえば、マウスピース(ナイトガード)を装着して歯を保護する方法が一般的でした。
しかし、マウスピースは「歯を守る」ことはできても「噛む力そのものを弱める」ことはできません。
また、違和感があって眠れない、装着を忘れてしまうといった課題もありました。
そこで当院が導入しているのが「ボトックス治療」です。
美容外科のシワ取りとして有名なボトックスですが、歯科領域では「過剰な筋肉の緊張をほぐす」という治療目的で使用します。
噛む筋肉(咬筋)に直接アプローチし、必要以上の力を出せないようにコントロールすることで歯や顎への破壊的なダメージを根本から軽減します。
「歯を削る」だけが歯科治療ではありません。
「破壊的な力から歯を守る」。
これもまた私たち湘南パーク歯科・矯正クリニックが担う重要な仕事です。
歯ぎしり・食いしばりが引き起こすトラブル

その不調、実は「噛みすぎ」が原因です
歯ぎしりや食いしばり(ブラキシズム)は多くの場合、無意識に行われています。
ご自身では自覚がないことも多いため、お口の中を見て初めて指摘されることも少なくありません。
過剰な力が長期間かかり続けると、お口の中だけでなく全身にも様々な悪影響を及ぼします。
歯の破折・摩耗
強い力で擦り合わせることで、歯の表面が削れて平らになったりエナメル質が剥がれて象牙質が露出したりします。
最悪の場合、歯の根っこが縦に割れてしまう「歯根破折」を引き起こします。
歯根が割れてしまうと、現代の歯科医療でも保存することは難しく抜歯を余儀なくされます。
詰め物・被せ物の脱離や破損
セラミックなどの被せ物が欠けたり、接着剤が破壊されて外れてしまったりする原因の多くは過度な噛む力です。
何度も治療をやり直している歯がある場合、力のコントロールが必要です。
顎関節症の悪化
顎の関節に持続的な圧力がかかることで、関節円盤がズレたり炎症が起きたりします。
「口が開かない」「顎が痛い」「カクカク音がする」といった顎関節症の症状を悪化させる最大の要因です。
歯周病の進行
歯周病菌による炎症に、揺さぶられるような強い力が加わると歯を支える骨の吸収(破壊)が急速に進みます。
これを「咬合性外傷」と呼び、歯周病を重症化させる大きなリスク因子となります。
知覚過敏
歯の根元に応力が集中し、くさび状に欠けてしまうことがあります(アブフラクション)。
これにより神経が刺激を受けやすくなり、冷たいものがしみる知覚過敏の症状が出ます。
全身への影響(頭痛・肩こり)
噛む筋肉(咬筋・側頭筋)は首や肩の筋肉ともつながっています。
食いしばりによってお口周りの筋肉が常に緊張状態にあると、それが首や肩へと伝播し慢性的な肩こりや偏頭痛の原因となります。
朝起きた時に頭痛がする方は、就寝中の食いしばりが疑われます。
エラ張り・顔貌の変化
筋トレをすると筋肉が太くなるのと同様に、毎日食いしばっていると咬筋が発達して肥大化します。
その結果、エラが張って顔が大きく見えたり四角い輪郭になったりします。
ボトックス治療のメカニズム

筋肉の緊張をリラックスさせる
ボトックス(ボツリヌストキシン)とは、ボツリヌス菌から抽出されたタンパク質の一種です。
毒素そのものではなく、安全に加工された医薬品です。
筋肉が動くとき、神経から「動け」という指令(アセチルコリンという神経伝達物質)が出されます。
ボトックスにはこのアセチルコリンの放出を抑制する働きがあります。
筋肉に注射することで、神経からの指令が伝わりにくくなり筋肉の動きを弱めることができます。
歯科治療においては、必要以上に発達してしまった「咬筋(こうきん)」にボトックスを注入します。
これにより、筋肉の過度な緊張が解け無意識に行っていた強い食いしばりや歯ぎしりが抑制されます。
完全に噛めなくなるわけではありません。
食事や会話に必要な筋力は残しつつ、歯を破壊するような「異常な力」だけを取り除くイメージです。
当院の使用薬剤

安全性と実績のある「メディトックス」を採用
ボトックス製剤には様々な種類がありますが、当院では韓国のメディトックス(Medytox)社製の製剤を採用しています。
メディトックス社は世界で初めて非動物性由来のボツリヌストキシン製剤を開発するなど、高い技術力を持つバイオ医薬品企業です。
信頼の品質
メディトックス社の製剤は、KFDA(韓国食品医薬品安全庁)の厳格な審査を経て承認されており世界60カ国以上で使用されています。
その安全性と効果は、長年の臨床実績によって裏付けられています。
安定した効果
注入後の拡散が少なく、ターゲットとなる筋肉にピンポイントで作用します。
効果の発現が早く、持続性にも優れているのが特徴です。
衛生的な管理
当院では、患者様お一人につき1本のバイアル(瓶)を使用しその都度開封しています。
使い回しは一切行いません。
徹底した温度管理と衛生管理のもと、常に新鮮で活性の高い状態の薬剤を使用します。
ボトックス治療のメリット

歯科医院で受けるからこその価値
ボトックス治療は美容クリニックでも行われていますが、歯科医院で受けることには大きな意味があります。
私たちは「噛み合わせ」と「口腔解剖学」のプロフェッショナルです。
お口全体のバランスを見ながら、機能回復を最優先に治療を行います。
歯と顎への負担を劇的に軽減
マウスピースのように「防御」するだけでなく、力の発生源である筋肉に作用するため根本的な負担軽減になります。
歯の破折やインプラントの破損リスクを下げ、大切な歯を長持ちさせます。
違和感のない治療
マウスピースが苦手な方でも、ボトックスなら違和感なく過ごせます。
就寝中の装着忘れや、旅行先への持ち運びといった手間もありません。
一度の施術で数ヶ月間効果が持続するため、ストレスフリーな治療法です。
顎関節症の症状緩和
筋肉の緊張がほぐれることで、顎関節への圧力が減り痛みや開口障害が改善します。
顎が軽くなったような感覚を得られる方も多くいらっしゃいます。
詰め物・被せ物の寿命を延ばす
セラミック治療やインプラント治療を行った後にボトックスを併用することで、過度な力がかかるのを防ぎ破損や脱離のトラブルを回避できます。
審美治療の予後を安定させるためにも有効です。
小顔効果(フェイスラインの改善)
これはあくまで副次的な効果ですが、咬筋の過度な緊張が取れて筋肉が痩せることでエラの張りが解消されます。
結果として、フェイスラインがすっきりとし小顔効果が得られます。
美容目的のみでの治療は行っておりませんが、機能改善の結果として多くの方に喜ばれているメリットです。
治療の流れ

わずか15分で終わる手軽な治療
ボトックス治療は、外科手術のような大掛かりな準備は必要ありません。
カウンセリングを含めても短時間で終了し、その日から普段通りの生活を送っていただけます。
カウンセリング・診査
まず、お口の中を拝見し歯のすり減り具合や噛み合わせ、顎関節の状態を確認します。
また、お顔の外側から咬筋を触診し筋肉の発達度合いや左右差を診断します。
ボトックス治療が適しているかどうかを判断し、効果や注意点について詳しくご説明します。
施術(注射)
施術部位を消毒し、咬筋の適切な位置にボトックスを注入します。
片側につき3〜5箇所程度、極細の針を使って注射します。
チクッとする程度の痛みはありますが、短時間で終わります。
痛みに弱い方には、事前に表面麻酔や冷却を行うことも可能ですのでお申し付けください。
施術自体は5分〜10分程度です。
術後の注意事項説明
施術当日は、激しい運動や長時間の入浴、サウナ、飲酒など血行が良くなる行為は避けてください。
また、注射部位を強く揉んだりマッサージしたりしないでください。
薬剤が意図しない筋肉に広がってしまうのを防ぐためです。
経過観察
ボトックスの効果は、施術直後には現れません。
個人差はありますが、通常3日〜1週間ほどで筋肉がリラックスし始め2週間〜1ヶ月後に効果が最大となります。
噛む力が弱まった感覚や、顎が楽になる感覚を実感していただけます。
必要に応じて、経過観察のためにご来院いただくことがあります。
料金表

ボトックス治療は、健康保険が適用されない「自由診療」となります。
当院では、高品質な薬剤を使用しながらも継続して受けていただきやすい価格設定にしております。
| 治療メニュー | 料金 | 備考 |
|---|---|---|
| ボトックス注射(咬筋・両側) | ¥27,500 | 診察料、技術料、薬剤費を含みます。 |
※美容目的(シワ取りなど)の施術は行っておりません。
※咬筋以外の部位(側頭筋など)への施術についてはご相談ください。
よくある質問(ボトックス Q&A)
患者様から寄せられる疑問にお答えします。
- Q1. 痛みはありますか?
- A. インフルエンザの予防接種と同じくらいの、チクッとする痛みがあります。
当院では極細の針を使用し、痛みを最小限に抑えるよう配慮しています。
注入時に少し重たいような感覚(鈍痛)を感じることがありますが、すぐに治まります。
- Q2. 噛めなくなりませんか?
- A. 食事ができなくなるようなことはありません。
ボトックスは「過剰な力」を抑制するものであり、通常の食事に必要な筋力は残ります。
ただし、施術直後は硬いお肉やスルメなどを噛む際に少し疲れやすいと感じることがありますが、徐々に慣れていきます。
- Q3. 効果はどれくらい続きますか?
- A. 個人差はありますが、一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度持続します。
時間が経つと徐々に効果が薄れ、筋肉の緊張が戻ってきます。
症状が再発する前に定期的に施術を受けることで、筋肉が萎縮した状態(リラックスした状態)をキープしやすくなり効果の持続期間も長くなる傾向があります。
- Q4. 副作用はありますか?
- A. 重篤な副作用は極めて稀ですが、一時的な症状として内出血、注入部位の腫れ、噛むときのだるさなどが生じることがあります。
また、筋肉のバランスが変化することで一時的に頬がこけたように見えたり、口角が上がりにくく感じたりすることがありますが時間とともに解消されます。
- Q5. 誰でも受けられますか?
- A. 妊娠中の方、授乳中の方、妊娠を希望されている方(男女ともに)は受けることができません。
また、神経筋接合部の疾患(重症筋無力症など)をお持ちの方や特定の抗生物質を服用中の方も禁忌となります。
必ず問診時に正確な健康状態をお伝えください。
- Q6. やり続けなければいけませんか?
- A. 必ずしも一生続ける必要はありません。
数回続けることで、食いしばりの癖自体が改善されたり筋肉が細くなって元に戻りにくくなったりすることもあります。
症状を見ながら、間隔を空けたり治療を終了したりすることも可能です。
- Q7. 小顔になりたいのですが、やってもらえますか?
- A. 当院でのボトックス治療は、あくまで「歯ぎしり・食いしばりの改善」や「顎関節症の緩和」といった歯科的な機能回復を目的としています。
美容のみを目的とした施術はお受けしておりません。
ただし、治療の結果としてエラの張りが取れフェイスラインがすっきりすることは十分に期待できます。
歯を守るための「攻め」の予防

歯科治療というと、悪くなったところを削ったり詰めたりするイメージが強いかもしれません。
しかし、それらはあくまで「修理」に過ぎません。
破壊の原因となっている「力」をコントロールしなければ、何度修理してもまた同じ場所が壊れてしまいます。
ボトックス治療は、この「破壊の力」を元から断つことができる非常に有効な「攻めの予防治療」です。
私自身、多くの患者様がボトックス治療によって顎の痛みから解放され、歯のトラブルが激減するのを目の当たりにしてきました。
「たかが歯ぎしり」と侮ってはいけません。
それは将来ご自身の歯を失う最大の要因になり得るのです。
もし、朝起きた時に顎の疲れを感じたり歯がすり減っていると言われたことがあったりするならぜひ一度ご相談ください。
簡単な処置で、未来の健康を守ることができます。
湘南パーク歯科・矯正クリニックは、あなたの歯を一生涯守るために最善の選択肢を用意してお待ちしております。

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